※デッドエンド…ハワイ火山国立公園内。真っ赤な溶岩が山肌を伝って海に流れ込む姿を歩いて見に行けるハワイ島でも唯一の場所。コンディションはその日によって変わり、たったの15分歩いただけで見られる時もあれば、片道3時間歩いても見られない日もある。
雨が降らないうちに急いで歩こうってことで、9時半すぎに部屋を出た。ボルケーノビレッジのJP's カフェでランチ用のサンドイッチを調達して、国立公園へ向かった。ビジターセンターでは天気の悪さに歩くか歩かないかしばらく悩み、思い切って10時半に出発。しかしボルケーノハウスを出てすぐ無情にも雨は降ってきた。
ちょっと歩いたらすぐに雨が降ってきちゃった |
雨は止むどころか強くなってきて天気が回復する見込みも全くなさそうだ。トレイルは断念、サーストン・ラバ・チューブ(溶岩トンネル)に行くことにした。こんな天気だからかな、いつも観光客でいっぱいのラバチューブにはほとんど人がいなかった。静かに雨が滴り落ちる熱帯雨林は晴れていては味わえない情景だ。今日はゆっくりラバチューブ見学ができそうだね。
サーストンラバチューブに誰もいないなんて |
本によると見所のポイントがあるらしい。1つは火山ガスで押し上げられた天井の跡。おおー、なるほど。所々天井が高くなっている部分がある。2つ目は照明の周りにあるコケ類。電球色のランプの傍らに寄って見ると…本当だ、わずかな光源を頼りにシダやコケが生えている。
3つ目の見所と言うのが、もうひとつの観光化されていない溶岩トンネル。照明もなく懐中電灯が必須ということなので、ちゃんと持ってきてみた。でもそんなトンネルあったっけ?と思う私。入口はあっさり見つかった。出口のすぐ向かいにあるフェンスだ。見覚えはあったけど、まさかこの中にラバチューブがあるなんてね。
バックパックからごそごそ懐中電灯を出していたら、若いカップルが近寄ってきた。「トンネルに入りたいけどライトがないの。一緒に行ってもいい?」
「もちろん。」
というわけで一緒に行くことになった。彼らは台湾からの旅行者だった。
真っ暗トンネルの入口はここだ |
中に向かって4人は歩き始めた。トンネルはかなり大きくて幅も広く、サーストンラバチューブと同じぐらいじゃないかなと思われた。少し進んだらそこはもう全くの闇の世界。小さなライトを2つ用意してきたけれど明るさが全然足りない。逆に明るいのはこのカップルだ。そして探検意欲もマンマン。もしこの2人がいなかったら、怖くて早々に引き返してきただろうね(笑)
足元は滑らかだけど暗くてなかなか進まない。10分ほど歩いたかな、抱っこしていたケンシン坊が突然泣き出した。そりゃ怖いよねー、すんません、こんな所に連れて来ちゃって。だけどもう後には引けない状況だよ。ちょっと我慢してね、ははは…。
滑らかだった足元の溶岩が突然切れて1mぐらいの段差になり、その先はゴロゴロの状態に変わった。ケンシン坊も限界に近そうなので我が家はここでギブアップ。彼らはまだ先に進みたいと言うのでライトをひとつ渡し、出口で待つ。
トンネル内から入口をパチリ |
10分ほどで2人が戻って来た。どうだったか聞いてみたかったけど、ケンシン坊がまだ泣き止まないので(ケンシン坊、ホントにすまぬ)早々にバイバイしてきた。待っている間に看板を読んでいたら、このトンネルはなんと334mもあると書いてある。そりゃ立派なもんだ、ビックリ。きっと半分も歩いてないに違いない。
外に出てしばしバードウォッチングをしてみる。雨が降っていても鳥はちゃんと活動しているようで、声がたくさん聞こえてくるし時々姿を現してくれた。赤い鳥はアパパネかなぁ?そうだったらいいな。坊の機嫌もやっと直った。
→「サーストンラバチューブ」の詳細レポート
お昼を過ぎてしまったのでとりあえず部屋に戻ることにした。ランチはトレイルで食べるはずだったJP'sカフェのガーデンサンドイッチ。食べ終わったらケンシン坊はお昼寝してしまった。
相変わらずの雨模様。一緒に昼寝するのもいいかな、なんて思ったけれどラナイ(テラス)に出てシダの葉から雫の落ちる姿を眺めたり、庭の花を見たりしてのんびり過ごした。
→「カントリーグース(B&B)」 の宿泊レポート
雨あってこそのボルケーノだ |
この後、いよいよデッドエンド※(上記参照)に行くワケだが…。坊のお昼寝が長引き、出かけるのが随分遅くなってしまった。ボルケーノビレッジで夕飯を買ってから出発した。なんとこの時点で日の入り時刻の6:15だ、大丈夫かなぁ。
国立公園の入口にはもう係員の姿はなかった。チェーン・オブ・クレーターズ・ロードに入ると、デッドエンドから上ってくる対向車とは何台もすれ違うのに、今から向かおうという車には全然出会わない。
雨は土砂降り、風も激しくなってきた。はっきり言ってこれは嵐とも言うね。深い霧で前がよく見えないところもある。センターラインに付いている反射板を頼りに進むという散々なドライブだ。
「ここどこ? もうちょっとでホーレイパリを下れるのかな。」
何度も通ったこの道だけど、全長32kmもある上に真っ暗+悪天候だから現在位置が全然掴めない。勢いで来ちゃったものの心細いよー。ケンシン坊、歌でも歌おう!
景気づけに歌っていたら「Kealakomo」の標識をかろうじて発見した。ここは高台の展望台なんだよね。霧が深いので一時休憩するつもりで駐車場に入ったが、どこに車を止めるのかも分からないほどヒドイ状態で即退却。でもお陰で自分たちの位置を把握できてホッと一息つく。
晴れてるkealakomoはこんな感じなんだけど… |
そのままホーレイパリを下り、道が平坦になった。この辺りから中央線の反射板が無くなり走りづらくなる。しばらくすると路肩に駐車された車と、懐中電灯を持って歩く人の姿が見えてきた。デッドエンドのロータリーで車の向きを変える。身障者マークのすぐ隣の特等席が空いていたので駐車した。やったー着いた、ホッ。ボルケーノビレッジを出てからちょうど1時間後のことだ。
ケンシン坊をチャイルドシートから下ろそうと振り向くと、赤い光が目に入ってきた。溶岩だ!遠い丘の上にポツポツと赤い光がハッキリ見え、空もオレンジに染まっている。溶岩好きのケンシン坊も大喜び。2人ともすぐにカッパを来て懐中電灯を持って外に出る。うわーっ、すごい風!雨はさっきより多少おさまっているけどパチパチ当たって痛い。
クマ(妹)に借りたデジカメを死守しながらケンシン坊と手をつなぎ、空いた手に三脚を持つという忙しい状況。でもこんな日でも沢山の人が見に来ていることに驚いた。子供連れの人も沢山いる。でもすれ違った子供の中ではケンシン坊が一番小さかったかな。
戻ってくる人たちが私たち2人を見て「大丈夫?危ないわよ。」と口々に言って心配してくれる。こんな嵐の日に溶岩の上を歩こうだなんて勿論考えてないけれど、詳しく答えるような余裕も英語力もないので「ありがとう!大丈夫です!」と言いながら舗装道路を進んだ。
もうここが限界だー。たった5分で限界に達する。そんな中、ケンシン坊が「ママ、あそこ見て、溶岩。お空赤いね!」なんて言っているのが嬉しいじゃないの。強風にあおられながら三脚を用意してなんとかカメラにくっつけた。ところが風で三脚が揺れるし、ズームしたいけど雨で微調整が難しく難航する。でもいい写真が撮れなくても仕方ないか。
→「デッドエンド」の詳細レポート
赤く染まる空と右下に赤い溶岩ですが…やっぱりイマイチすぎる写真 |
車に戻るとものすごい土砂降りになった。これ以上天気が悪くなったら大変だ。早々に切り上げ帰路に着いた。部屋に着いたらもう9時。お風呂の後すぐにベッドに入った。みなさん、デッドエンドには天気の良い日に行きましょう(教訓)
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