ハワイ島の宿泊レポート/ホノカア (ハマクアコースト) |
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ハマクアコーストとは島の東側、ワイピオ渓谷〜ヒロの北の辺りのことをさします。溶岩大地が広がる島の西側とは全く異なり、熱帯雨林の渓谷が続く緑いっぱいの場所。小さな町が点在し、大きなホテルは1軒もありません。 そんなハマクアコースト最大の町はホノカア。古い時代の建物が残る町並みは懐かしいような風情があり、楽しく散策ができる場所です。ホノカアの宿泊施設は町の中心にある小さなホテルが1軒、あとはB&B、コテージなどの一軒家となります。 ホノカアの街中には中規模スーパーやレストランがあるので滞在中に不便は感じることはないでしょう。 |
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ルアナ・オラ B&B | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[ホノカア] [コテージ] ホノカアのメイン通りであるママネ・ストリートから海側へ車で数分下ったところにあるのが、ルアナ・オラB&Bです。前の道は行き止まりになるので、車の出入りも少なくとても静か。周囲には木々が鬱蒼と生い茂り、落ち着いた雰囲気をかもし出しています。 しかしながら、標高が低い上にこれだけ緑が多いとなると蚊が発生します。車から下りた途端に集団で襲ってきました。蚊の対策はバッチリ行っておいてください。初日は正直言って、『もうこんな蚊の多いところは耐えられない!』と思ったのですが、次の日、また次の日と、時間が経つにつれて居心地が良くなり、帰る頃にはまた泊まりたい宿になりました。 ルアナ・オラB&Bでは、グリーンコテージとブルーコテージの2つのコテージを貸し出しています。それぞれ完全に独立した一軒家タイプなので、幼児が一緒でも他のゲストに気を遣うことなく気ままに過ごせるのが魅力です。予約時に朝食付きにするか朝食なしにするかの選択をし、朝食付きにすると冷蔵庫にマフィンや果物を入れておいてくれるそうです。B&Bではオーナーさんと一緒に食事を取るところも多いですが、ここでは『心ゆくまでのんびりして下さい』というスタイルなんですね。 私たちはグリーンコテージに4泊しました。部屋はワンルームタイプで、クイーンサイズのベッド1台と、リビング、キッチン、ダイニングがコンパクトに納まっています。大人2人+5歳の子供1人が過ごすには、ちょうど良い広さです。リビングのふとんソファを広げれば、4人まで泊まれますが、大人が4人では狭いかもしれません。
キッチンは小さいながらも思った以上の設備が整っています。パスタを作ったり野菜をゆでたりしました。これだけ器具があれば長期滞在も可能です。コーヒー豆が2種類(レギュラーとデカフェ)用意されていて、自由に挽いて飲むこともできます。
このコテージの一番の売りは、なんと言っても”緑に包まれた静寂の空間”でしょう。ラナイに面した海側は全面が窓になっています。入口のドアを網戸にして開け放ち、ソファに座って外を眺めた時の開放感はたまりません。 本家サイトでは『信じられないような景色』とうたっています。オーシャンビューと書かれていましたが、見えるのは一部です。もしかしたら、このコテージが出来た頃は周囲の木々の背がまだ低くて、海が一面に見えたのかもしれません。それともブルーコテージのほうは、海が全面に見えるのかな? 海が見えても見えなくても、ハマクアコーストらしい魅力ある景色であることには変わりないですね。
築年数はそれなりに経過しているような感じは見受けますが、バスルームは新しい気がしました。バスタブにハンドシャワー付きで、お湯の出も良く使いやすかったです。シャンプー類なども各種揃っていました。子供の体を洗うのに、ハンドシャワーは助かります。 左の写真は駐車場からコテージに上がる階段(数段)です。奥に写っているのは洗濯機と乾燥機があるランドリーコーナーで、2つのコテージの共用施設となっています。 私たちが泊まった年末年始はオーナーさんがバケーション中で留守にされていたので、お会いすることができませんでした。なので普段がどのような感じなのかは分かりませんでしたが、我が家としてはこの宿は、とっても居心地が良くて気に入っています。
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ホテル ホノカアクラブ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[ホノカア] [ホテル]
100年ほど前のホノカアは砂糖きびプランテーションで働く移民が多く住んでいた町でした。ヒロに次ぐ第二の町として大変な活気に溢れていたそうです。駐車場にプランテーションで働く労働者を描いた壁画があるのは、そんな歴史があるからなのでしょうね。 そんなホノカアのメインストリートに面して建つのが、ホテル・ホノカア・クラブ。この町が舞台のエッセー『ホノカアボーイ』(2009年に映画化)の中にも登場している小さなホテルです。歴史は古く、創業は1912年。ホノカア・シュガー・カンパニーのマネジャーたちのために建てられ、労働者の社会活動の中心を担ってきました。日本からの移民である森田熊吉氏が初代のオーナーを務めています。中庭があることが特徴のコートハウス様式の建築で、廊下には柔らかな光が差し込んでいました。当時はファーストクラスのホテルとして紹介されていたようですね。 さて、現在のホテルの紹介です。 ホテルに着いて最初に思ったことは「うわ〜、ボロだ(笑)」です。写真は縮小してあるので『お洒落なプチホテル』風に見えますが、正直なところ、そういった感じではありません。リゾートのような最新設備の快適性を求める方は避けたほうが無難です。逆にオールドハワイの雰囲気が大好きという方には、最高の宿となることでしょう。 とりあえず、チェックインをするために中に潜入しました。入ってすぐ右側の1室がフロントとして使われています。スタッフのアネルさんとジュリアさんの2人の女性が対応してくれました。最初に聞かれたことは「お子さんは何歳?静かに出来る?」でした。このホテルは古い木造建築で、壁も床も薄いから響くとのことで、「夜は静かにね」とのことでした。
お部屋のカテゴリーはエコノミールーム、2階の15号室です。大きなガラス窓越しに、ハマクアコーストの海を一望できる素晴らしいオーシャンビュー!前にヤシが2本立っていますが、15号室はちょうどその間にあるので見晴らし良好です。大きなガラス窓は開閉できませんが、その代わりに両脇のガラスを上下にスライドして網戸にすることが出来ます。ラナイはありません。 床は板の上に薄いカーペットが敷かれており、そのカーペットもかなり擦り減っています。確かにバタバタしたらホテル中に響きそう。部屋はわりと余裕のある広さで、母子2人では窮屈さを感じませんでした。古いけれど掃除はしっかりされ清潔です。 バスルームはバスタブがなく、固定のシャワーのみです。換気のため天井付近が網戸になっており、隣接する廊下からの冷気が直接バスルームに入り込んできて寒かったですね(宿泊は2月で、ホノカアの冬は朝晩が冷える)。
朝のお楽しみは、輝くばかりの海の景色を見ることです。ホノカアは島の東側に位置しているので、力強い朝陽に照らされる時間がとてもきれい。もう1つのお楽しみが朝食です。これは宿泊料金に含まれています。ホテルのスタッフと滞在客が1階の食堂に集まって朝食を食べるスタイルは、まるでB&Bのよう。小さなホテルだからこそ感じられる温かさです。子どもと一緒に食堂へ入っていくと、とても歓迎してくれました。宿泊客はこの日は女性ばかりでした。それも1人旅のようです。朝食はコンチネンタルブレックファストで、時間は7:30〜9:00。トースト、コーヒー、ハーブティー、パウンドケーキ、フルーツ類が用意されていました。 古い建物ですが、それが逆に歴史の重みでもあり味わいでもあります。小さなお子さんがいるご家族にはお勧めできませんが、小さな町が大好きな方やオールド・ハワイを感じてみたい方には良い宿です。 【後日談… 100年越しの縁を奇跡がつなぐ】 2018年12月追記 上の宿泊レポート(ホノカアクラブ)を掲載して数か月、もしくは数年経ったかもしれない時期のお話です。ある方(Aさん)から一通のメールをいただきました。なんと、ホテル ホノカア クラブの創業者である森田熊吉氏の子孫にあたる方でした。 ご実家で古いホノカアの写真が見つかり、ホノカアクラブや熊吉氏について調べていたそうです。しかし情報があまりに少なく、調査は行き詰まってしまいました。そんな中、偶然この宿泊記事をご覧になり、「現地の情報をもし知っていたら…」と連絡をくださったのです。 しかし、残念ながら私が知る創業当時の情報は何もありません。その代わりと言ってはなんですが、タイミング良く再度ハワイ島へ渡る予定だったため、現地の友人に聞いてみますと返信しました。Aさんは私がハワイ島へ発つ日、成田までわざわざお見送りに来てくださったことを覚えています。 さて、ハワイ島へ渡った私は、仕事仲間であり親しい友人でもあるToshiさんに相談をします。好奇心旺盛な彼は張り切って協力してくれました。しかし、なかなか手掛かりが掴めません。最終的には、電話帳を頼りに同じ苗字の方へ片っ端から電話するという作戦に出ました。すると、これが功を奏し、なんと熊吉氏の家系を知る方が見つかったのです。そしてその方がヒロ在住のB家へと話を繋いでくれました! この明るい展開に、依頼者のAさんは大喜び。 家系図を作ったり、ご実家で見つかったというホテル創業当時のホノカアの写真を送ってもらいました。Aさんが写真の1枚1枚を丁寧に説明してくれます。100年近く前に途切れたご家族の縁を繋ぐ作業だと思うと、とても尊い時間に感じられました。 ホノカアクラブの創業者が日本人の熊吉氏であることを、私はこの件に関わったことで初めて知りました。それまで、どこにも書かれていなかったからです。ホノカアの有力者だった彼の葬儀は沢山の方がお別れに訪れ、メインストリートに収まりきらないほど長い葬列となったそうです。 一週間後、Toshiさん一家が資料を携えて、ヒロのB家を訪問しました。不思議なご縁で知り合ったB家の皆さんとは、とても和やかで楽しい時間を過ごせたそうです。 熊吉氏とご実家との間で続けられてきた手紙のやり取りが、ある時を境に途絶えてしまってから、実に100年近くの月日が流れました。それがこの年、国境を越えて再び繋がったのです。 時空を超えた壮大な再会の橋渡しをしてくれたToshi夫妻、ありがとう!
宿泊した日の日記を読む →2005年2月『ホノカア三昧で遊ぼう』
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