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※赤い線は今日移動したところ
6日目  ボルケーノ事件と心温まる出会い 之巻

2/24(火)  天気: ワイコロア晴れ、ボルケーノ雨のち曇り

きのうの夕食の時、Toshiさんがこんなことを言った。
『ねえ、みやちゃん。たまには観光客らしいことしてみれば?』
『えー?めちゃめちゃ観光客っぽいじゃないですか。ヒルトン行ったし。』
『ああ、そっか。そうだねえ』←ちょっと流されやすいToshiさん(笑)

そんなことを話しつつも、私には1つ野望があった。ボルケーノに行きたい! そして今日はその決行日。車の運転にも慣れたし、ちょうどいい頃だろう。天気もいいし、朝食を食べたらすぐ出発だ。と言っても結局ワイコロアビレッジを出たのは9時半頃になってしまった。

ワイメア経由の北回りのルート、しょっぱなから景色が良くて誘惑がいっぱい。写真を撮りながらのドライブで、ようやく2時間半後ヒロに到着した。北回りルートはパーカーランチの絨毯みたいな緑の草原とマウナケアの景色が最高だし、それを過ぎたら今度は海を望みながらのロングドライブ、ヒロに近くなるにつれ熱帯雨林のような森が現れたりして、ちっとも飽きることがない。随分この景色には助けられたよ。車に乗るとすぐ寝ちゃうケンシン坊が、ずっと起きてて話しかけてくれたのも有難かったなあ。

時間はちょうどお昼。最初から決めてたFreddy'sというドライブインに入る。お勧めはサイミンなんだって。お腹も空いたし、それじゃいただきまーす。サイミンはサイズが小さいので子供が食べるにはちょうどいい。(大きいのもあります)


Freddy'sはトイレ休憩にも○

少し休憩して充電が出来た。あと一息、40分頑張ればボルケーノに着くぞ。そう意気込んでお店を出たら、何だか肌寒い。空を見上げると雲が広がっている。ボルケーノ方面はさらに怪しい雲行きじゃないのー(泣) まあでも、とにかく行くだけは行ってみよう。

しかし、嫌な予感は的中。ヒロを出たら雨がポツリポツリと降ってきた。そしてボルケーノとの中間地点のマウンテンビューの辺りを通過する頃には土砂降りの雨。そして1時半すぎにボルケーノビレッジに着いた。天候は霧雨。止む気配なんかちっともない(涙) 料金を払ってエントランスを入ってもトレイルは無理だろうな。それどころか火口の景色すら見えないかもしれない。行くにも行けず、帰るにも帰れず。だって4時間もかけてはるばる来たんだもん。そうだ、キルト屋さんで雨宿りしよう!


所狭しと生地が並ぶ。どれも欲しくなっちゃう!

キルトを見るのは楽しいしワクワクする。そんなに広い店内じゃないのに小一時間もいただろうか。このまま待ち続けても埒があかない。もうこうなったら雨でも何でも行ってやろうじゃないの!ってことで強行突破することにした。

しかし幸運なことってあるもんだ。エントランスを入った途端に雨が止んだのだ。時折晴れ間も覗いたりしている。あまりの天候の変化に驚きつつも、飛び跳ねたくなるような気持ちだ。時間は2時半。4時には出発したいから、正味1時間半しかない。この短い時間で何を見てくる?

ゆっくり考えているヒマなんかない。クレーターリムを1周して帰ろう。途中で寄る場所は…デバステーション・トレイルの往復30分にハレマウマウ火口20分で決まりね。わざわざ日帰りでここまで来たのは、自分がボルケーノが好きだからというのも勿論あるけど、ケンシン坊に”大きな自然”を見せてあげたいという理由もあった。

天気は大丈夫そう。坊が抱っこをせがむと大変なので、念のため"しょいこ"を持ってスタート。デバステーション・トレイルは初めてだ。コースは舗装され、トレイルというより散歩道という感じで歩きやすい。ケンシン坊も張り切って前を歩いている。オヒアの林を抜けると、パッと視界が開けた。荒涼として何もないところにポンと噴石丘(プウ・プアイ)が現れる。思わず立ち止まって見入ってしまう一種独特な光景。暫く眺めてたらケンシン坊が随分先のほうへ走っていってしまった。おーい、待ってくれー。

このトレイルの最終地点はキラウエア・イキ火口を見下ろす展望台。坊が走って行っちゃうから思った以上にあっけなく到着してしまった。イキの火口を眺めていると、イキ・トレイルを無性に歩きたくなる。ここは一度歩いて病みつきになった所なんだよね。展望台で栃木からきた御夫婦が写真を撮ってくれた。さっきイキのトレイルを歩いたんだって。羨ましいな。


荒涼とした風景

車に戻り、今度はハレマウマウの火口へ向かう。クレーター・リム・ドライブからはカルデラの壮大な景色が見えた。まだ所々噴煙があがり、大地が創造されていく姿。『ケンシン坊、この景色を見てよ!』
と私は目を輝かせて必死に伝える。でも肝心のケンシン坊は行き来するバスに興味を持っていかれ、『ママ、見て見て。バス!』を連発。ダメだ、こりゃ。でもいつかはきっとこの景色に目を見張る時が来るさ。

所々車を停めながら、ハレマウマウ火口のパーキングに到着。さすがは超有名な観光スポット。人の出入りが絶えない。『ケンシン坊、ここの景色もすごいんだよ。』と言いながら、私も久しぶりに火口とのご対面なのでワクワクだ。風が冷たくなってきたから坊は長袖着ようか。しょいこを背負うとリュックが邪魔だなぁ。リュックは車へ置いていこう。それじゃあ、ドア閉めますよー、バタン。

ハッ!!! しまった!!!

その瞬間、気づいたのだ。車のキーがリュックの中だと言うことに…。サーッと一気に血の気が引いた。よりによって、こんな場所でインロックしたのだ。どうしよー(号泣)
もう3時半を過ぎている。頭の中はパニック状態…。どうしたらドアを開けられる? 脳みそフル回転の結果、ツアーバスの運転手さんに助けを求めることにした。もちろん日本語なぞ通用しない。

『すみません、助けていただけませんか?インロックしちゃって…(泣)』
『OK!ちょっと待ってね。』(と言って無線で早速連絡してくれている!)
『今レンジャーを呼んだからこのまま車の前で待ってて。』

うわ〜ん、ありがとうございます!(感涙) とにかく良かった。後は待っていればいい。うちの車の隣に1台別の車が入ってきた。降りてきたのは、さっき展望台で写真を撮ってくれた栃木の御夫婦だった。『あれ、また会っちゃったね。』と話かけてくれた。年齢が両親と同じぐらいに見えることもあって、私は急にホッとしてこのアクシデントを話してしまった。

20分がすぎ、30分がすぎた。パークレンジャーは来ない。時刻は4時、急に空が曇りだし冷えてきた。ここはキラウエア火口のど真ん中。風を避ける場所もなければ、雨宿りできる場所もない。非常に心細い。


こんな荒野でハプニング。どうしよう…

その時、ご夫婦がハレマウマウの見学を終えて帰ってきた。今日はボルケーノに宿を取っているから、このまま一緒に待っていてくれると言う。『もしレンジャーが来なければこれも何かの縁、一緒に宿に泊まりにおいで。』とも言ってくれる。寒いだろうと上着やタオルを貸してくれた。こんなに温かくしていただいて、私は涙が出そうだった。

そして待つこと40分、パークレンジャーが来てくれた。安堵感に包まれる。本当にこのご夫婦には感謝してもしきれないくらい精神的に救われた。旅行中の貴重なお時間だったのに私たち母子に付き合って下さってありがとうございました。(このページをもしご覧になることがありましたら、是非ご連絡ください。気が動転していてちゃんとお礼も出来なかったことを後悔しています) それから、ツアーバスの運転手さん、パークレンジャーさん、ありがとうございました。

時刻は夕方5時ちょうど。今からワイコロアまで帰るなんて気が遠くなるけど、頑張ってまっすぐ帰ろう。Shihoさんが夕飯を作ってくれているから。
途中ホノカアで一度家に電話する。Shihoさんの明るい声を聞いたら少し元気がでた。もうすっかり日は沈み真っ暗。街灯もない道を55マイル(約90km/h) もの速さで走り抜けていくのが怖かった。
そして7時半すぎ、ようやく家に着いた。やっと緊張が解けて心からホッとできる場所に戻ってきた。ご飯に間に合わなくってゴメンナサイ。今日は疲れちゃったな。早々にお風呂に入ってゆっくり休もう…。

これからハレマウマウの火口に行く度に今日の事件を思いだすんだろうな。でもいい教訓になりました。みなさん、車のロックはドアの外から鍵を使ってかけましょう。


ドライブ中に困った時の英語表現
火山のど真ん中で車をインロックさせるという大失敗をしました。英語堪能とは全く言いがたい私ですが、ツアーバスの運転手さんには身振り手振りを含めたつたない英語で助けてほしいことを伝えました。人間、必死になれば何とか伝わるものです。レンジャーさんがちゃんと来てくれました。でもちゃんとした英語表現を知っていれば確実ですよね。JAFから毎月送られてくるJAF MATE(※)にこんな表現が載せられてました。

☆I'm locked out of my car./鍵の閉じ込みで車に入れません。
☆I'm out of gus./ガス欠です
☆My car broke down./車が故障しました。

おお、これがあったら的確に伝えられるじゃない!丸暗記しなきゃ。ドライブ英会話というコーナーなんですが、大好きです。
※JAF Mate 11月号 65頁 に掲載されていました
[2004年11月]


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